交通事故についてのよくある質問
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交通事故の賠償には3つの基準があると聞きましたが、どういうことですか?
交通事故における損害賠償金額の基準は、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判基準の3種類があります。慰謝料等の一部の損害費目は基準によって金額が異なり、一般的には自賠責保険基準が一番低く、裁判基準が一番高くなっています。
自賠責基準とは自賠法によって規程された基準です。任意保険基準とは任意保険会社が独自に定めた基準であり、法的強制力はありません。裁判基準は裁判上の和解や判決で運用されている賠償額の算定基準です。
弁護士が介入した場合、裁判基準を元に交渉を進めていくことになります。 -
過失割合とはなんですか?どうやって決まるのですか?
多くの交通事故では事故当時者の双方に不注意(過失)があります。過失割合とは、交通事故発生の原因となった不注意(過失)が加害者と被害者にそれぞれどの程度あるのかを割合として示したものです。そして、相手方に賠償を求める際には自己の過失割合を差し引くことになりますので(これを過失相殺といいます)、たとえば損害額100万円で過失割合が相手方90:自分10の場合には90万円(100万円×相手方過失90%)しか賠償請求できないということになります。
過失割合がどのように決められるのかというと、東京地裁民事交通訴訟研究会編集の「別冊判例タイムズ38号 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(「別冊判タ」)が基準になります。別冊判タには事故態様毎に過失割合が示されており、問題となった事故が別冊判タ記載のどの事故態様に類似するかを検討することになります。
ただし、別冊判タも全ての事故態様を網羅しているわけではありませんし、当事者が特異な挙動を取ったために別冊判タに機械的に当てはめることが相当ではない事案がありますので、保険会社から提示された過失割合が妥当なのかと疑問を持たれたら、弁護士にご相談されることをお勧めします。
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「駐車場の事故は5対5」と言われたのですが、そうなのですか?
駐車場内では基本的に道交法の適用がなく、また、一昔前までは別冊判タに駐車場での事故が取り上げられていなかったため、駐車場内での自動車同士の事故は「5対5で痛み分け」とするケースが多かったようです。
しかしながら、駐車場内での事故事例の集積が進み、平成26年5月に出版された別冊判タの改訂版(全訂第5版)で初めて駐車場内での事故が取り上げられるに至りました。現在でも保険会社の担当者によっては一律に「5対5」を提示することもあるようですが、裁判実務では別冊判タに掲載された事故類型にあてはめて過失割合を具体的に判断するようになっています。
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保険会社から治療費を打ち切るとの通知を受けました。まだ治療を続けたいのですが、どうしたら良いでしょうか?
治療費の打ち切りは、通常、以下のとおりの順序で決定します。
- 治療が長期間に及ぶ場合等、保険会社は被害者からの同意を得た上で、病院に対して医療照会をします。
- 医療照会により、病院から取り寄せた診断書や診療報酬明細書などを元に顧問医の意見を聞き、たとえば症状固定と判断されれば、治療費の打ち切りを決定することになります。
たとえば症状固定だとして治療を打ち切られた場合、症状固定との判断は保険会社側の判断によるものであるため、被害者は主治医とよく相談し、症状が改善される見込みがあるようならば、治療を続けることは可能です。
但し、以降の治療費は自己負担となります。示談や訴訟などで損害と認められれば後日精算してもらえますが、損害と認められなかった場合は症状固定後の治療費は全額自己負担のままになってしまいます。
このような場合、弁護士にご相談されることをお勧めします。
破産についてのよくある質問
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自己破産の手続は終了するまで、どのくらい時間がかかりますか?
破産管財人が選任されない同時廃止手続の場合、申立から6か月程度までの間に、免責の許可を受けることが多いです。
ただし、免責不許可事由がある、裁判所が提出を求める資料が整わない等の事情により長期化することがあります。
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自己破産の申立をするには、どのような準備が必要ですか?
裁判所が予め用意した書式に、破産に至る事情や財産状況の説明を記入し、裁判所に提出します。
そのほかに、財産状況の分かる資料として、所有している不動産の登記簿(登記事項証明書)、契約している保険の証券、預貯金の通帳などのコピーなどを提出します。特に、通帳には、お金の出入金が記入されているため、重要な資料になります。
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破産管財人は選任されるのはどのような場合ですか?
破産を申し立てる方が、債権者に分配できるだけの財産を有している場合、免責不許可事由がある場合などに選任されます。
また、債権者に分配できるだけの財産がない場合でも、自営業者の方、法人の代表取締役となっている方が申し立てる場合には、破産管財人が選任されることが原則です。
特に、債務を残して活動を停止している会社の代表取締役の方が、その会社の連帯保証人となっている場合にも、破産管財人が選任されることが多いです。また、その場合、個人としての破産申立のほか、活動を停止している会社についても別途破産申立をする必要となることが多いです。
相続についてのよくある質問
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誰が相続人になるのですか?
法律の世界では、亡くなった人を「被相続人」、被相続人の子など、相続する人を「相続人」と呼びます。
民法では、相続の順位について、第1順位・子、第2順位・子がいない場合には直系尊属(親、祖父母等)、第3順位・子や直系尊属がいない場合には兄弟姉妹が相続人になり、また、配偶者(妻又は夫)は常に相続人になると規定されています。
代襲相続の規定にも注意が必要です。被相続人の死亡より前に子が亡くなっていて、かつ、その亡くなった子に子供がいる場合(被相続人にとっての孫がいる場合)、その孫は代襲相続人になりますし、また、子及び孫が亡くなっているが玄孫がいる場合、その玄孫が代襲相続人になります(これを再代襲といいます)。兄弟姉妹の場合、一代限りで代襲相続の規定がありますので、甥や姪は代襲相続人になります(他方、再代襲の規定はありませんので、甥や姪の子は相続人にはなりません。)。
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相続放棄とは何ですか?どのような効果があるのですか?
時折、相談者の方が「プラスの財産を何ももらわない」という意味で「相続放棄」という言葉を使われることがありますが、民法で定められた「相続放棄」は家庭裁判所での手続きを取ることが必要ですので、ご注意ください。
民法上の相続放棄とは、家庭裁判所に申述することが必要な裁判手続きの一種であり、プラスの財産とマイナスの財産を何も引き継がないことを宣言する手続きです。被相続人に借金(マイナスの財産)が多い場合、マイナスの財産は、相続放棄をしない限り、たとえプラスの財産を何ももらっていなくても法定相続分に応じて相続することになってしまうため、借金の支払いを求められないようにするには必ず相続放棄が必要になるのです。
相続放棄の申述は、原則として相続人が被相続人の死亡の事実を知り、かつ、自己が相続人となったことを知ってから3か月以内に行う必要がありますので、早急に家庭裁判所において手続きを取ることをお勧めします。
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自分の遺産を全て長男に継がせたいのですが、どうしたらよいですか?
このような希望を叶えるには、遺言を残すことが有効です。
遺言にはいくつか作成形式がありますが、そのうち自筆証書遺言と公正証書遺言がよく利用されています。自筆証書遺言はその名のとおり遺言を残す人が自筆で書くものです。簡単に作成できるのがメリットですが、他方、「本文は印字で署名だけ自筆にするのは無効」「作成日を○月吉日とするのは無効」など、形式面でのルールが細かく、また、後日遺言能力が争われる可能性があること等のデメリットがあります。
そのため、最近では、公正証書遺言を作成される方が増えています。
公正証書遺言とは、公証役場にいる公証人(多くは検察官や裁判官を退官した方)と内容の打合せをした上で、公証人によって作成される遺言のことで、遺言能力があることがある程度担保されている、方式の不備等無効になる可能性が少ない、公証人役場で遺言書原本が保管されるため紛失の危険がない等のメリットがあります。